旧社名 (有)米澤神仏具製作所  
     
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昭和31年(1956)3月 醒泉小学校 卒業文集 担任 奥井 一枝
四年の頃   [ まよった ] 米澤 正文

  夏、伊勢へ海浜学校に行った。夕食がすんで、先生の所へ行った。すると先生が「ぶらぶら、散歩に行きましょう。」と、ゆわれたので、海辺にそって歩いったその途中には、カニがたくさんいた 取って見ると赤黒い色をしていた。林君が、海のカニを取ろうとしたら、ぞうりが海の中に落ちた。「あっ」と思ったがおそい。ぞうりはゆっくり落ちてゆく。見えなくなる迄見ていたが、しかたないので、林君はけんけんで、歩いているので僕は「そんなんやったら、おうたろ。」と、言っておうていた。おうている時、僕は思った。
他の人が何もしないのに、僕が先にしたのは、おせっかいだろうか、だけども林君の足のことも、考えなければならない、どっちややろうかなあと まよった。

   
昭和45年(1980)8月1日(土) 毎日新聞
“芸術修行” 京の若い仏師たち
みっちりデッサンから    現代に通じるセンス追求
 
  石膏のビーナス像を真剣にみつめる仏師たち。京都の若手仏具師たちが、ノミを持つ手に鉛筆を握って、デッサン、クロッキーの勉強を始めた。『伝統の技術やデザインだけでは現代から取り残される』と、新しい生活様式と室内装飾にもマッチする仏具を、この催しは作り出そうという試み。この秋には、みがいたセンスを生かした作品展を開くという。この催しは、京都府仏具(協)の青年会が、京都市工業試験場の協力で開いたもので、三十日夜から同試験場でスタート。青年会員の木工師、彫刻師、物師など約二十一が参加し、行動美術協会員の保地謹哉氏の指導で石膏のビーナス像と取り組んだ。

  最近は生活様式の変化から、仏具も、調度品としての要素が重視され、現代的な室内装飾と調和するものが求められている。このため、約百人の会員を持つ同青年会は『これからはデザインのセンスが必要だ』と、デザイン講習会を開くことを決めたもの。

 まず青年会長の米澤正文さん(27)-米澤仏具店-が『仏具には、基礎となる形が昔からあり、これを無視するわけにはいかないが、仏壇の屋根や破風のカーブなどを工夫すれば、ガラリと感じが変わる』と、デザイン講習のいぎを説明、参加した会員たちは『現代的なセンスを吸収したい』『古い仏具の中に、どのように新しさをだすか』などと語り会いながら、熱心に石膏像のデッサンを勉強した。
同青年会は、石膏のデッサンを八月中頃まで続け、その後は、人物や動くもののスケッチを勉強して、九月に、会員による試作展を開く予定。仏具製作の牝馬、京都で始まった、若手仏師たちの“芸術修行”が、今後の仏具界にどんな影響を与えるか注目される。
 

昭和46年(1971)11月11日〜11月27日

   
   第1回ヨーロッパ伝統産業視察      
主催 京都伝統産業青年会  共催 京都府           
欧州の伝統美術工芸を視察

 
  京都伝統産業青年会の第1回ヨーロッパ視察団団長野淵泰司氏らの一行16名は、来る11日午後7時15分大阪空港発で一路コペンハーゲンに向かう。デンマーク、西ドイツ、スペイン、イタリア、フランス各国の伝統の美術工芸を視察し、現地でセミナーを開いたり、経営者と懇談し、27日午後6時大阪空港着で帰国する。団員は仏具を代表して米澤正文氏など西陣織、友禅、清水焼、京扇子その他から成っている。 
絵葉書(初めて家族に出した手紙5通)
1通目 11/12 AM6.00 コペンハ-ゲンにて   
  羽田をPM.10.30発にて飛び立ち、アンカレッヂ(米国時間AM9.30着)に12日AM4.30に着いた。札幌に似た空港ですが米国旗がありやはり異国という感じです。1時間後にコペンハーゲンに飛び立ち1時間で着く所です。日本時間で12時30分頃でも,まっ暗で   身体がまだなじめませんが心配ありません。  
 (希代子)オトウサンハ アスカラハ ケンシュウデスヨ オバアチャンニ アマエナサイヨ! 飛行機内にて
 米澤 正一様
 
2通目 11/13 AM8.30 コペンハーゲンにて
  ヨーロッパの第一歩のコペンハーゲンの第一日は、時差の関係で身体が大変疲れている。昼まで休んだが寝られない。昼より富井氏(コーディネーター)の案内でデンパルマネント・ブロスター視察、立派な工芸品が多く展示されている。夕食後町をぶらついたが美しい街です。早くも一行の内、西河君が腹痛のため休んだが、今朝は元気に顔を見せた一同安心、又、心を引き締めて今日のスケジュールに従って行動する。僕は疲れも取れ元気安心して下さい。     
 米澤 正一様  
3通目 11/15 フランクフルト(西ドイツ)にて
  毎日元気一杯 安心して下さい
 ドイツに来てデンマークとの違いが出る。約1時間(飛行機)であるのに! デンマークの工芸品はデザイン中心であるが、ドイツには伝統を受け継いでいる工芸品が数多くある。今日一日中視察であった。昔からマイスター制度があり後継者育成が進んでいる、でも日本の木工(手仕事)は大変技術が良い特に米澤の技術は世界の技術だ!でも技術を今は生かせていない! 次に    米澤神仏具製作所様
4通目
  1)お父さんは毎日元気に研修・視察を行っています。でも時間がなくて買い物が思う様にいきませんが、アンデルセンの童話があり1冊買う事が出来ました(デンマークにて)1)フランクフルト(西ドイツ)は北国なので植物園は立派でした、花を大切にする町なのだろうね。
  1)お父さんはここでチロルハットという帽子を買いました、帰りにはびっくりするよ! お母さん元気にしているか希代子たのむよ! 
11/15 フランクフルト パークホテルにて   米澤 希代子さん
5通目 11/19 フィレンツェにて
早中日(9日目)を向え元気に旅を行っております。昨日ローマを見物(半日)しましたが雄大な古代建築・遺跡にはあっとうされました。スケジュールがつまっていて、ゆっくり見物という事は出来ませんが(身体が休まらない)工房を多く見学しました。
 フィレンツェは京都と姉妹都市だけあって、おちついた静かな街です、とくに山が四方にあり京都が思い出されます。    
米澤 正一様
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